北海道などの寒冷地の新築でセントラルヒーティングが多いのはなぜ?メリット・デメリットを教えてください。
セントラルヒーティングとは
セントラルヒーティングとは、建物の一カ所に設置した装置から出た熱をパイプやダクトを使って各部屋に送り、一つの装置で家全体を温めるシステムのことです。
ボイラーで作ったお湯を循環させる「温水式」、ファンヒーターやペレットストーブなどの熱を循環させる「温風式」の2種類があり、一般的に「セントラルヒーティング」というと温水式を指すことが多いようです。
日本では部屋ごとに暖房器具を置くスタイルが主流でしたが、近年、新築住宅にセントラルヒーティングを取り入れるケースが増えています。
セントラルヒーティングにはどのようなメリットとデメリットがあるのでしょうか。
セントラルヒーティングのメリット
セントラルヒーティングは一つの熱源から出た温水や温風をダクトなどで循環させることで部屋全体、家全体を温める仕組みです。そのため、部屋ごとに暖房器具を置いた時のように「部屋によって温度が違う」「部屋と廊下の温度差が激しい」といったことが起こりにくく、高齢者にとって特に危険な「ヒートショック」の防止になります。
また、電気式のボイラーを熱源にしている場合、火傷や火災の危険が少なく安心して利用できます。燃料を燃やしているわけではないため空気が汚れず、灯油などの匂いがしないのもメリットです。
ペレットストーブなどを使ってセントラルヒーティングの場合は火災や火傷のリスクがあり、臭いや煙なども発生しますが、設置するのは一つだけですので部屋ごとに暖房器具を置くよりも安全性は高くなります。
エアコンのように温風で直接部屋を暖めるのではなく輻射熱を使って部屋を暖めるため空気が乾燥しにくく、熱源装置以外はシンプルな構造なので故障しにくいなど、長期的に使える安全・安心な暖房システムと言えるでしょう。
セントラルヒーティングのデメリット
セントラルヒーティングは温水や温風を循環させるためのダクトやパイプ、パネルヒーターなどを設置しなくてはならないため、導入コストが高く、導入のための工事に数日間かかってしまうというデメリットがあります。
また、セントラルヒーティングは広い範囲を温めるため、一旦停止して熱源装置が冷たくなってしまうと再度温めるまでに時間がかかってしまいます
そのため、一度稼働させたら暖房が不要になるシーズンまで稼働させ続けるのが基本となり、ランニングコストがかかってしまうので注意が必要です。
さらに、家の断熱性が低いと熱が逃げやすく部屋が温まりにくく温度を維持しにくくなりますので、セントラルヒーティングを導入する場合は住宅の断熱性を高める必要があり、建築コストがかさみやすいのもデメリットです。
まとめ
セントラルヒーティングは安全性が高く、環境にも健康にも優しい暖房システムです。しかし、導入や維持のコストがかさみやすく、住宅自体の断熱性が低いと効果が下がり、部屋を暖めるのに時間がかかるといったデメリットもあります。家にいる時間が短い、家族が少なく広い範囲を温めておく必要がないといった場合、セントラルヒーティングを使うメリットはあまりないかもしれません。
熱源に何を使うかによってもメリットやデメリットが変わるため、セントラルヒーティングの導入を検討するときは、施工実績豊富な業者に相談しながら、ライフスタイルや住宅性能や規模、家族構成にあった方法を選ぶとよいでしょう。