音響にこだわった空間には壁材が重要?種類4つと特長。
音響に重要な「残響」のコントロール
音は空気の振動が耳に届くことで聞こえるもので、壁などにぶつかって反射したり、音の波同士がぶつかって減衰や増強したりする性質を持っています。
快適な音響空間を作るには、スピーカーなどの音源から出た音と、音源から出た音が壁などに反射した残響が必要以上に混ざりあったり特定の場所に集中してしまわないよう空間を設計しなくてはなりません。
特に、必要以上に音が反射したり残響がいつまでも残り続けないようにする「吸音」は重要で、反射音の方向や広がり方を制御するために反射板を設置する「反射」「拡散」と併せることで理想的な音響空間に近づけることができます。
今回は、残響のコントロールのなかでも特に重要な「吸音」のために使用する壁材の種類と特徴についてご紹介します。
吸音材の種類と特徴
吸音は大きく分けて「多孔質型吸音」「板振動型吸音」「共鳴型吸音」の三つに分けられますが、一般家庭の音響空間づくりでは「多孔質型吸音」を利用します。
「多孔質型吸音」は、多孔質構造の材料の隙間に音が入ったとき、音波が周囲の構造物質にぶつかって振動・摩擦することで音のエネルギーの一部が吸収されるという仕組みです。
吸音方法としては最も普及しており、吸音材の種類が豊富でコストパフォーマンスに優れているといったメリットがあります。
【グラスウール】
グラスウールは断熱材としても多く用いられる素材でコストパフォーマンスに優れており、変形させやすく不燃性であることからよく利用される素材です。
しかし、多湿環境では吸音性能が低下する、ガラス素材であるため砕けた粉末などが出やすく吸ったり触れたりすると危険といった特徴があるため、密閉しなければなりませんが密閉してしまうと吸音材と音が直接触れ合わなくなって吸音効果が下がってしまいます。むき出しで使う場合、人が触れないようにするなど配慮が必要でしょう。
【軟質ウレタン】
軟質ウレタンは吸音材としてもっともポピュラーな素材です。製造しているメーカー、取扱業者が多く加工性も高いため密度や厚み、表面の形状などの選択肢が広いため非常に利用しやすい素材と言えます。グラスウールのように危険な粉末などが出ることもないので安心して使えるのもメリットです。
ただし、高温多湿の環境下では加水分解の恐れがあるほか、多湿の環境下では性能が低下することがあるなどのデメリットがあります。
【ポリエチレンフォーム】
ポリエチレンフォームは軟質ウレタンの代替品として使われることがある吸音材で、加工性が高く使いやすい反面、吸音効果はやや低いという特徴があります。単体で使われることは少なく、他の素材と組み合わせて使うことが多いでしょう。
【メラミンフォーム】
メラミンフォームは他の吸音材に比べて密度が高いわりに軽く、難燃性であることが大きな特徴です。また、見た目が美しく内装の雰囲気を壊しにくく、劣化や変色しにくいことからも人気です。
しかし、軟質ウレタン吸音材に比べると価格が高いのがデメリットです。
まとめ
吸音材の効果は素材だけではなく、密度や厚みなどによって異なります。
また、性能が高い吸音材を使えば快適な音響空間を作れるというわけではなく、部屋の広さや形状、床や天井の素材などによって求められる吸音効果も変わりますので、施工の際は音響空間づくりの経験と実績が豊富な業者を選ぶことも重要です。
音響にこだわった空間を作りたい方は弊社にご相談ください。