バリアフリーリフォームなどに使える、満60歳以上の方を対象にした、高齢者向け返済特例制度とは?
快適な老後生活のために家をリフォームしたいと思っても資金不足であきらめている、高齢のためローンを組むことができず困っているという方は少なくありません。
そこで近年、自宅にバリアフリーや耐震改修を含むリフォームを行おう高齢者に向けた返済特例付きのリフォームローンが登場しました。
高齢者向け返済特例制度とは
高齢者向け返済特例制度とは満60歳以上の人が住宅金融支援機構のローンを利用して自宅をバリアフリーリフォーム、耐震改修するときに利用できる制度です。
年齢は「満60歳以上」となっており、上限は特に定められていませんので「高齢のためローンを組むことができない」という方でも利用可能です。
通常、ローンの返済は利息と元金を毎月支払っていきますが、高齢者向け返済特例制度では月々の返済は利息分のみで、元金は連帯債務者を含む申込人全員が死亡後、相続人が住宅や土地の売却資金などで一括返済する方式です。
毎月の支払額が低く抑えられるため、生活費などに負担をかける心配がありません。
対象となる住宅や工事
対象となる住宅は、申込者本人や申込者本人の配偶者、直系親族が所有する一戸建て、二世帯住宅、アパート、マンションなどです。床面積の条件はなく、上限額は住宅の条件などによって変わりますが、最大1500万円までとなっています。
対象になる工事は、バリアフリーリフォームの場合は「床の段差解消」「廊下幅及び居室の出入口の幅確保」「浴室および階段の手すり設置」、耐震改修工事は「法律に定める計画の認定を受けた改修計画に従って行う耐震改修工事」「住宅金融支援機構の定める基準等に適合するよう行う耐震補強工事」ですが、ほかのリフォーム工事をあわせて行う場合はその工事も対象となります。
例えば、浴槽の交換のみでは制度の対象になりませんが、浴槽の交換と手すりの設置を同時に行う場合はどちらも対象になります。部分回収だけではなく、対象工事が含まれていれば建て替えにも適用されます。
なお、耐震工事の場合はリフォーム工事の完了後、適合証明検査機関・適合証明技術者による工事内容の確認をうけ、適合証明書を発行してもらう必要があります。
返済について
高齢者向け返済特例制度は、死後に融資対象となった家や土地を売却することで元金を返済するという方法が基本ですが、相続人が自己資金で返済すれば家や土地を手元に残すことが可能です。
また、売却益が借入額に満たず返済が残った場合、債務が相続人に残ってしまうので、注意が必要です。
まとめ
高齢者向け返済特例制度を利用すると少ない負担で快適な家を作ることができますが、元金は死後に一括返済するという方式であるため、相続トラブルの原因になる可能性があります。
利用する場合は返済方法や債務が残るリスクが多少あることなどを相続人に伝え、了承を得ておきましょう。